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東京電力、信頼性、そして日本の危機
Apr. 09, 2011

『アジア・太平洋・ジャーナル』編集部

 

英文 ENGLISH

 

3月11日にマグニチュード9.0の地震と津波が日本を襲って以来、そして福島第一原発の状況が急速に悪化してからずっと、現在の危機でもっともひどい影響を受けた福島県民と同県の政治家は、東京電力や政府が提供する情報が不足していると批判してきた。福井県のように原発が集中立地している県や多様な市民グループも、情報の欠如と状況判断に不可欠な事実の公開の遅さを非難して、同じく強く懸念を表明している。とりわけ強い懸念が集まっているのは、日本政府が事故直後にあまりにも東電任せにしたこと、諸機関が共同して情勢に対応するのに必要な調整を行う統合連絡本部の設置が遅れたこと、そして事故直後に東電によるあいまいな状況説明と原発は大丈夫だという保証――こうした説明と保証の多くは疑わしいものだということが分かっている――を信用したことである。タブロイド紙『スポニチ』は、15日にいらだった菅直人首相が、「一体どうなってるんだ」と東電社員と怒鳴りつけた様子を、まことしやかに説明をしている。「一体どうなっているんだ」、これが疑問なのであり、この感情は実際に広く一般大衆も感じている。時事通信によれば、状況がさらに悪化した16日にも菅首相は、私的な会話で東電批判を続け、「危機感が非常に薄い」と非難した。大衆紙は、「無責任さ」と東電上層部の透明性の欠如にスポットを当てて報道し続けている。原子核専門家も大衆も同じ問題を批判している。科学者だけでなくアマチュアまでもが、ガイガーカウンターを使い、ブログやソーシャル・メディアを使って連絡をとりながら――市民社会を構成する諸次元の一つを構成するこれらの活動が、地震の直後には極めて重要なものであることを明らかにした――、政府からは独立した情報をだれもが使えるようにしようとしてきた。こうした独自の情報の中には、公衆の恐怖を和らげるものもあったし、逆に、政府が出す耳当たりは良いがあてにならない解決策に疑問符を付し、福島第一原発の状況が悪化しつつあることを証拠に基づいて明らかにしたものある。後者の場合は、変化する状況に対する大衆の理解を深め、恐怖心を強めた。

 

公にされる情報の質に対する懸念は、日本以外でも繰り返されて表明されている。ウィーンで記者会見を行った天野之弥IAEA事務局長は、日本政府の出す情報が不足していることを批判した。天野事務局長は、この欠如は事故直後の混乱によるもので、現場のひとびとを「後知恵で」批判しないようにすることが大切だと強調して一定の理解を示したけれども、同時に、情報の欠如は、だれもが持つ「一体どうなっているんだ」という問いの答えが得られないという不満を膨らませている。東電の対応に対して事故直後にあった信頼は、現在の危機に関する東電の報告のみならず、何よりも過去の起きた原発事故に関する論争への東電の対応の前科で、まったく無に帰したようだ。

 

福島第一原発の危機が悪化していく中で、調査報道を続けてきたジャーナリストのティム・ショロック(Tim Shorrock)は、2002年までさかのぼって東電が原発運営の中で問題を隠蔽してきた事例を明らかにしている。彼は、東電が提供する不適切で人を欺くような情報に注意を引きながら、「金曜日(3月11日――訳者注)に津波が原発の冷却システムを破壊し、原子炉格納容器が過熱してからずっと、政府の公式な声明は混乱し、矛盾し、不可解千万なのだ」と記す。東電が「安全性に関わることになると何事もあいまいにし歪曲してきた情けない前科」を記述し、その前科のなかでも二つの重大な事故に焦点を当てている。2007年年7月25日の『オーストラリアン』紙を引用して、2007年の中越地震の際に東電が事態にどう対処したかを次のように指摘した。

 

地震で刈羽原発に多くの事故が生じてから12時間後、日本政府高官は東電の会長をオフィスに引きずり込んで、「めったにない屈辱する調子でまるで鞭打つように叱責した」。高官が「激怒」した理由は、東電経営陣が「世界最大の発電施設である柏崎刈羽原発の事故の深刻さについて、彼の部下の官僚をだました」からであり、それも「今回が初めてではない」からであった。同紙は報道を次のように続ける。本州西部の日本海側にあるこの原発の沖合10キロで起きたマグニチュード6.8の地震で、刈羽原発では原子炉建屋が地盤沈下し、配管が破断し、そして消火に5時間もかかった火災が生じ、加えて少量の放射能を大気中および海中に放出したのである。日本には以前にも地震によって停止し表面的な損傷を受けた原子炉があり、原子力発電所には安全性が保たれないものあった。東電経営陣は、所有する原発の問題の隠蔽にかかわったこともある。今回は、この三つが同時に起こったのだ。これは、日本が原発震災(地震にともなって原子力発電所が生み出す災害)寸前までいった最初の事例である。著名な地震学者石橋克彦によれば、震源があと10キロ南西でマグニチュードが7であったら、柏崎市は、本番――人口集中地域の地震が生み出す破壊と混乱の中で、おそらくは炉心が破壊された原子炉という緊急事態が勃発する状態――に直面していただろうという。2002年になると東電の行動は、スキャンダルといえるほどのレベルになる。この時、ジェネラル・エレクトリック社(GE)の技術者が日本政府に、東電が原子力発電所の検査記録を改竄し、10年以上も事実を隠蔽していたのだ、と告発した。日本で最大発行部数をもつ『読売新聞』の2002年9月14日の記事よれば、この事実が明らかになったのは、東電技術者と一緒に原子炉を検査したGEの子会社の米国人技術者が、2年前に、通商産業省(現在の経済産業省の前身)に内部告発を行ったからであった。『読売新聞』がさらに明らかにしたことは、通産省自身も東電と共謀して、GEの内部告発者が後に暴露することになる情報を隠蔽しようとしたのだ。

 

ショロックは東電のウェブサイトの次の資料にも関心を持つ。ウェブサイトでは、過去のスキャンダルを受けて、反省と安全性の改善、そしてより一層の透明性を約束するものだった。このサイトは、東電が法的な決着の一環として公表し続けることを求められたものであろう。原子力発電所の運転の安全性を宣伝するキャンペーンのなかには、マンガのマスコット「げん子ちゃん」、「ビジネスマンガ」の『島耕作シリーズ』で有名な弘兼憲史のマンガ、そして喫茶室や日本庭園のみならず、子供たちに安全な核エネルギーの科学を教え導く漫画版のアインシュタインや、マリー・キュリー、そしてエジソンまでも客寄せに使う「エネルギー館」もあるのだ。日本の公衆に核エネルギーの安全性を宣伝するこのような「ゆるキャラ」やマンガ、カフェに日本庭園という先週まで日本に特有だったものは、いまや残酷なアイロニーの様相を呈している。

 

組織上の問題や矛盾、そして不正直さの諸例がどのようなものであっても、『ニューヨーク・タイムズ』紙記者ヒロコ・タブチが「無名の50人」と呼んだ現場の東電労働者たち、無数の問題に取り囲まれた現場にとどまり命を救おうとして無私の努力を続けているひとびとの努力を称賛するために、われわれはこの機会をとらえるべきだろう。16日までに、原発を救おうと頑張ってきた800名の他の東芝職員は、放射能のリスクのために現場を離れ、米国国防総省も同様の理由で、米軍艦船の展開を福島第一原発から半径50マイル以上離れた海域に限定すると発表した。この悲劇を生み出し、さらに悪化させることにつながった制度上および政策上の失敗に関連するさまざまな疑問が、今後の数週間に浮上してくるだろう。しかし、今しばらくわれわれができることは、現場の労働者の犠牲的行為が原発によって生み出される災厄から他の人びとを守り、正常に動かなくなった原子炉のメルトダウンを防ぐことができるということに望みをかけることだけである。

 

訳者:杉山茂

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